将棋の戦法の中でも舐めプ界の王様的存在の穴角戦法。
やられたらむかつきますし、穴角をやられて負かされるともっとむかつきます。
現実で面と向かって穴角をやると、人間関係が崩壊すること間違いなしなのでなかなか見かけませんが、ネット将棋だと結構見かけます。
なので、ネット将棋の早指しでも負けない穴角対策を紹介したいと思います。
穴角戦法の組み方
まずは穴角戦法について簡単に紹介します。
初手から▲9八香△3四歩▲9九角△8四歩▲8八銀とするのが穴角戦法のオープニングです。
本来9九の地点には玉を入れるのが普通なところ、強力な攻め駒である角を囲うという超挑発的な指し方が特徴です。
この▲8八銀では▲8八飛とする振り飛車バージョンの穴角向かい飛車もあります。
▲8八飛と振る指し方は穴角の中では少数派で、一番多いのはやはり▲8八銀と穴熊っぽく組み上げる指し方です。
▲8八銀としたあとは2枚の金を7八、7九とそれぞれくっつけて完全体にする指し方もあり、形は美しいのですが勝率が悪すぎるのであまり指されません。
なので舐めプ感を出しつつ勝ちにこだわるために、7八には金1枚置くか、玉を置くというのが普通の指し方です。

ここから▲7八玉、もしくは▲7八金でひとまず玉の囲いは完成という感じです。
穴角戦法の手合差は香落ちくらい!?
穴角は角を閉じ込めているので角落ちより不利と言われることがありますが、一時的に閉じ込めていても将来的に角を使う展開になるので、角落ちより不利ということはないです。
駒落ちで言えば香車落ちがもっとも近い印象ですが、相手の戦法が居飛車か振り飛車かによっても変わります。
対居飛車だと香落ちよりかなりきつい手合になりますが、対振り飛車相手なら正直香車落ちより穴角の方が勝率が高い印象です。
なので相手の得意戦法がわからないネット将棋では、穴角は香落ちくらいの手合じゃないかと思います。
- 対居飛車 →香落ちよりかなりきつめ(銀落ちくらい?)
- 対振り飛車→香落ちより穴角のほうが勝ちやすい
対穴角には居飛車から棒銀がベスト
穴角をわかりやすく潰すには、角を世に出させる前に角をいじめきるのが1番分かりやすいです。
角をいじめきるために、居玉+棒銀+端攻めが1番おすすめの指し方です。
早速その手順を見ていきましょう。
初手から▲9八香△3四歩▲9九角△8四歩▲8八銀△8五歩
▲6八玉△7ニ銀▲2六歩△8六歩▲同歩△同飛
▲8七歩△8ニ飛▲2五歩△3三角▲4八銀△8三銀
▲3六歩△7四銀▲7八金△9四歩▲3七銀△9五歩
▲4六銀△8五銀(下図)

序盤の指し方は本当にシンプルで、居玉のままずんずん銀を繰り出して、△9四歩~△9五歩と端を詰めていきます。
次の狙いは△9六歩▲同歩△同銀と棒銀の攻めをすることです。
以下▲同香なら△同香▲9七歩△9八歩と通常では現れない攻めが決まります。
受けのない先手は攻め合いに活路を見出しますが・・・
上図より▲3五歩△同歩▲同銀△3四歩(下図)

▲同銀と取ると△5五角と飛び出す手が絶好です。
先手は角が閉じ込められているので、こういう手が利いてしまうところが痛いです。
仕方なく▲4六銀と引きますが、△9六歩と狙いの端攻めをすることができます。
以下▲同歩△同銀▲9七歩△同銀成▲同桂△9六歩(下図)

次に△9七歩成▲同香△9六歩▲同香△同香▲9七歩△9八歩の攻めがあり、先手は受けが難しい状況です。
いつでも△9八歩の狙い筋が残っているのでこの棒銀から単純に端攻めが受けづらいです。
穴角には居玉+棒銀+端攻めが決定版
穴角側は△9八歩と角を詰ます手が残ってしまい、単純な端攻めが受けきれない
穴角向かい飛車対策

穴角向かい飛車に対しての対策もみていきましょう。
この指し方への重要なポイントは2つだけで、
- ▲7六歩と突かれても飛車を取らない
- △7四歩~△7五歩とせず、7五に銀を置く
この2つを意識していれば簡単に優勢にすることができます。
①については以下のような局面が当てはまります。

飛車を取っても優勢ではありますが、△6四銀と無視されるほうが穴角側にとってはつらいです。
▲7七銀にも△7五歩とどんどん攻めていく要領です。
先手の9九の角が浮き駒なので、飛車を動かすことができないのが泣き所です。
それを解消させてあげる△8八角成と飛車を取るのはお手伝いとも言えるので、取らないほうが指し手が分かりやすくておすすめです。
次に②についてですが、ついつい飛車のコビンを攻めたくなって△7四歩~△7五歩と突くことを考えてしまうかもしれません。
しかし①で8八の飛車を角で取るのはお手伝いというのが理解できれば、コビンを狙っていくのもそこまでいい攻めではないということがわかります。

なので上図のように歩ではなく7五に銀を置いて▲7八金を強要し、▲6六銀を防いだあとでゆっくり玉型整備をすれば圧倒的な作戦勝ちになります。
振り飛車にすると対穴角は互角になってしまう
対穴角には今紹介した居玉棒銀が決定版ですが、振り飛車党の人は飛車を振って勝ちたいと思うかもしれません。
しかし穴角相手に振り飛車にすると、普通の将棋に戻される可能性が高いです。
例えばノーマル四間飛車に組み上げると、以下の局面が想定されます。

ここから▲7六歩~▲7七角とすると、角の動きで1手損した換算になり、先手ノーマル四間対後手居飛車穴熊の形に戻ってしまうだけです。
もしくは、▲8八銀と一時的に角を閉じ込め、▲8六歩~▲8七銀と銀冠に組んでくるなどありますが、いずれにせよ普通の将棋と言えます。
ノーマル四間ではなく、ゴキゲン中飛車にしたとしても同様で、穴角から銀冠に組み上げて持久戦になるとほぼ普通の将棋になってしまいます。

ここから▲8六歩~▲8七銀~▲7六歩と突き、機を見て▲7七角とかやられるとやはり普通の将棋になります。
ソフトの評価値的にも穴角相手に飛車を振ると、0に近い数字になり、互角と判断するようでした。
- 対穴角に振ると銀冠や穴熊に組まれて普通の将棋になり互角になってしまう
- 振り飛車党の人でも対穴角には居飛車にしよう
まとめ
穴角という舐めプ戦法の対策について紹介しました。
結局のところ穴角に対しては、
- 飛車を振ると互角の局面になってしまう
- 居玉+棒銀+端攻めで分かりやすく優勢にできる
この2つを覚えておくといいと思います。
逆に舐めプ戦法として穴角をやろうと考えている不届き者の皆さんは、居飛車党には穴角をしないようにし、振り飛車党相手に挑発として穴角をやるようにしましょう。
そしてリアル将棋で面と向かって穴角をすると色々面倒なことになるので控えておいたほうがいいです。
実際に大会で穴角を使って揉め事になった人を見かけたことがありましたので・・・(笑)
ぜひ参考にしてみてくださいね!