将棋の有効な勉強法としてよく言われるのが棋譜並べです。
棋譜並べとは何かというと、プロやアマ強豪が指した棋譜を将棋盤に再現して自分の考えた手と比較してお手本にしたりする勉強法の一つです。
しかし棋譜並べは万人に効果のあるわけではなく、将棋を始めたての初心者や中級者にはおすすめできない勉強法なのです。
なぜ初心者に棋譜並べがおすすめできないのか、上級者向けの勉強方法なのかを解説していきたいと思います。
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棋譜並べの効果
プロなどの強い人の棋譜を並べると得られる効果は、
- 様々な手筋を知ることができる
- 序盤作戦、囲い、定跡や最新系が学べる
- 指し手の幅を広げることができる
このような感じです。
棋譜並べは1局大体10分~15分ほどかけて並べきるのが一般的なので、10分でこれだけ学べる棋譜並べって一見凄いと思えますよね。
でも初心者がこのような効果を得て棋譜並べで上達するのは難しい・・・というより無理です。
初心者に棋譜並べがおすすめできない理由
棋譜並べの効果を初心者が得ることができない理由を1つずつみていきましょう。
棋譜並べで手筋についての解説はほとんどない
将棋には色々な手筋があり、名前がつけられています。垂れ歩、叩きの歩、金底の歩、ダンスの歩などなど・・・。
しかしプロの棋譜だとこのような手筋は当たり前のように使われて、本に載っている棋譜に1つ1つ丁寧に手筋の意味が解説されていることはありません。
そしてプロ同士の将棋なので実戦に現れる手筋は応用されたものばかりです。
初心者のうちはプロのような応用された手筋より、基礎的な部分から学ばないと手筋を覚えて自分でも使いこなせるようにはならないのです。
なので初心者にとっては棋譜並べよりも基礎的な手筋を説明してくれる将棋の本で学ぶほうが何十倍も効果があります。
プロの棋譜から序盤作戦を学んではいけない
プロの序盤戦略は将棋ソフトの登場で昔よりかなり複雑になっています。
将棋の序盤はまずは玉を金銀3枚で囲い、攻めの準備を整えてから仕掛けるというのが常識でした。
しかし最近はそのセオリーが崩壊しつつあります。実際にプロのタイトル戦で指された将棋を見てみましょう。

これは2018年に竜王戦という将棋界最高峰のタイトル戦で指された将棋で、いま先手の羽生竜王が▲6六歩と仕掛けたところです。
昔の常識だと玉の位置は7九か8八の地点まで囲うという感じだったのでした。
しかし中途半端な6八の位置から、しかも玉頭というかなり危険な場所から仕掛けるという初心者には絶対真似してほしくないことをしています。
今のプロの将棋は序盤作戦をかなり理解してからではないと学ぶ必要のないものとなっています。初心者は棋譜並べではなく定跡書で序盤の勉強がおすすめです。
指し手の幅を広げるのは基礎が身についてから
将棋には攻めても受けてもいいという局面があります。
そういう局面で攻めしか考えない人が、受けが好きなプロの将棋を並べて受けの勉強をするというのは効果がある棋譜並べだと思います。
しかし初心者のうちは攻めても受けてもいい局面でどうするかというよりも、絶対に受けないといけない局面など基礎的な部分を勉強するべきなので、指し手の幅を広げるなどを考える必要はありません。
棋譜並べはいつからするべきなのか
棋譜並べは効率の悪い勉強法なので、初心者から最短で初段を目指したい人にとっては一切手を付けなくても良いと思います。
最短じゃなくても良いという人には以下の条件で棋譜並べをすると良いと思います。
- 2級以上の棋力になる
- 自分の得意戦法だけ並べる
- 仕掛けの局面で1番時間を使って自分ならどうするか考える
- 中盤以降は常に形勢判断をすること
- 1局並べるのに20分以上かけない
この5つの条件を守ればそれなりに効果はあるんじゃないかなと思います。
しかし自分の得意戦法の棋譜を用意するだけでも結構大変ですし、続けていると自分ならどうするか考える前に局面を進めちゃったりするんですよね・・・。
人の将棋で自分ならどうするかっていうのを考えるのはなかなか大変なことなので、初心者にとってはもっと大変なことだと思います。
まとめ
初心者に棋譜並べをおすすめできない理由を解説してきました。
棋譜並べをしている、もしくはしようと思っている初心者、中級者の方はその時間を詰将棋や実戦にあてるほうが効率良く上達できます。