将棋初心者が最初に教わる戦法が棒銀戦法です。
なので初心者向けっぽい戦法に思われている棒銀ですが、元名人で今はテレビに引っ張りだこの加藤一二三九段も生涯棒銀を指し続けていました。
そんなわけで初心者からプロまで愛される棒銀ですが、決して人には教わってはいけない悪魔的戦法があります。
それが今回紹介する棒玉戦法です。
棒銀と違い、棒玉戦法は攻める能力はほとんどありません。
それも当然で、棒銀なら銀を犠牲にして敵陣突破をする指し方ができますが、1番大事な王将を犠牲にするわけにはいけません。
ではなぜ玉を使うのかというと、簡単に言えば挑発の意味合いが強いです。
でも研究して、実戦でちょっとだけ通用するかもしれないレベルにまで仕上げたので、マイナー戦法や舐めプが好きな人はぜひ読み進めていただければと思います。
棒玉戦法を指すためにはまず棒銀をすること!?
初手から▲2六歩△3四歩▲7六歩△4四歩▲2五歩△3三角
▲4八銀△3ニ銀▲6八玉△4ニ飛▲5六歩△7ニ銀
▲7八玉△9四歩▲9六歩(下図)
一応ノーマル三間飛車にも棒玉戦法は使えますが、ノーマル四間飛車相手のほうが効率が良いです。
棒玉と言うからには玉が4八~3八~2七と行くものかと思われそうですが、最初の出だしは普通に進めます。
ポイントは△9四歩と突かれたら▲9六歩と突き返すこと。
というかここから棒銀の定跡に進めるので、気持ちとしてはまずは棒銀を指そうと思ってください。
上図から△6ニ玉▲6八銀△7一玉▲5七銀左△8ニ玉▲5八金右
△5ニ金左▲3六歩△4三銀▲3七銀△5四歩▲2六銀
△3ニ飛▲1六歩△1四歩(下図)
ここまでの手順は普通に棒銀戦法の定跡です。
しかしここから定跡手順と離れ、棒玉の形を目指していきます。
上図から▲3五歩△5一角▲3八飛△6ニ角▲4六歩△1ニ香
▲6八金直△6四歩▲3四歩△同銀▲3五歩△4三銀
▲4七金(下図)
▲3五歩では▲4五歩と指すのが定跡で、以下△4三金から難しい局面が続き、プロの実戦例もそれなりにあります。
一方▲3五歩と打つのは△4三銀とされて、2六の銀の行き場がなくなり失敗とされている形です。
しかし失敗とされている形から▲4七金と上がり、だんだんと先手の構想が見えてきます。
- 2、3筋の位を取り手厚くする
- 2六の銀を攻め駒ではなく受けの駒と考える
- 受け駒が待つ2~4筋に玉を移動する
あえて攻めが止まる▲3五歩と打ったのは、2,3筋の位を取っておいて安全地帯にしておき、そこに玉を移動させてあわよくば入玉を狙うという構想でした。
以下一例として後手が銀冠を目指してくるとどうなるかみていきましょう。
上図から△7四歩▲6九玉△6三金▲5八玉△8四歩▲3六金
△8三銀▲4七玉△7ニ金▲5八金△9ニ香▲2八飛
△9一玉▲3七玉△8ニ金▲2七玉(下図)
ついに途中の棒銀の定跡形からは考えられなかった棒玉の形が完成しました。
以下は▲4七金から▲3七桂と跳ね、機を見て▲4五歩と仕掛けるか、▲7八飛から相振り飛車っぽく指すなど色々指し方があります。
後手としても下手に2~3筋から攻めようとすると入玉をされる危険性があるので、攻めるとしたら5筋~8筋辺りからですね。
例えば△8五歩から△8四角や、△6五歩から△6四金~△5五歩という感じです。
今まで紹介した手順に初見の人がよくやってくる指し方で、そこまでヤラセ感はないと思います。
棒玉戦法でやられると嫌な指し方
今回紹介している棒玉戦法のような指し方に、金銀3枚使ってしっかり玉を固めてくるのは実はカモな指し方だったりします。
というのも、棒玉のような薄い戦法に対して金銀を3枚も4枚も使って固める必要はなく、相対的にちょっと堅ければいいので、金銀2枚で十分です。
したがって、以下の局面では振り飛車側は守りに使っている金を攻めに使うことを考えたいところです。
守りの金を使う攻め方としては、△6五歩から△6四金のような手もありますが、△5五歩▲同歩△5四歩▲同歩△同金と一歩を犠牲にしてスピードアップしてくるのが厄介です。
以下▲5六歩△6五金▲4七玉△7六金▲7八金と進みます。
こうなると自陣に触れさせず押しつぶして勝つという棒玉側にとって理想な展開にはならない形になります。
形勢はまだ難しいですが、棒玉戦法のような玉の薄いマイナー戦法には金銀2枚でも十分堅いという認識を持たれるとマイナー戦法全体の勝率が下がりそうです。
でもまだまだ何も考えずにとりあえず玉を固めるという層がいるので、こういうマイナー戦法も通用するかもしれません。
まとめ
ネタ中のネタみたいな名前の響きの棒玉戦法を初見相手ならそれなりに通用するレベルまで研究して仕上げてみました。
実際に指した勝率もそこまで悪くなかったので、興味を持ってくれた人は一発芸として1度試してみてくださいね!
難点は棒銀戦法の定跡も多少知っておかないといけないということですが、現代将棋では棒銀は滅多に登場しないので、居飛車党も振り飛車党も棒銀の定跡に詳しくないと思われます。
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