将棋の勉強法

【やってみた】大道詰将棋を解いて強くなるのか実験

 

ぼくは昔、詰め将棋としてはマイナーな大道詰将棋を300問解いたことがあります。

歴代アマ名人最強と言われる平畑善介が将棋の勉強に大道詰将棋を500問ほど解いたとそのとき読んだ本に書いてあったので、レアな勉強法マニアなぼくも自分で実験してみました。

結局500問も解けず、300問で挫折してしまったのですが、結果将棋は強くなったのかなどをお話したいと思います。

大道詰将棋とはどういうものなのか?

まずは大道詰将棋を知らない人のために、軽く大道詰将棋の紹介からしていきます。

大道詰将棋とは詰め将棋の一種ですが、昭和時代には道端で商売としてやっていたようです。

どんな商売かというと、1手100円などの料金を支払い、客が見事詰ますことができれば景品をプレゼントするというもの。

お祭りでやっている型抜きの将棋版と考えれば想像しやすいかもしれません。

詰め将棋はみれば一瞬で解けそうなものから明らかに時間のかかりそうなものと色々ありますが、大道詰将棋は客が簡単に解けそうだなと思わないと挑戦しないので、簡単そうに見えるという特徴があります。

 

 

これは大道詰将棋の「香歩問題」と言われる形です。

一見余詰めがあるほど簡単に詰みそうに見えますよね。

例えば▲6三桂不成△8一玉▲8九香△8三歩▲8二歩△9一玉▲9二歩・・・以下詰みのような。

しかし▲8九香には△8三銀!が絶妙の合駒でわずかに詰みません。

ならばと、初手▲7二歩△8一玉▲8九香と指してみましょう。今度△8三銀なら▲8二金から詰みます。

しかし▲7二歩△8一玉▲8九香には△8四桂!▲同香△8三金!が2連続限定の絶妙の合駒でどうやっても詰みません。

という風に詰みそうだからと手を出していくとどんどん間違えてその度にお金を取られてしまい、簡単に詰みそう、だけどなかなか詰まないというトリックにはまります。

ちなみに正解を載せておくと、

▲8三桂不成△8一玉▲8二歩△9二玉▲9四香△9三角▲9一桂成△同玉▲9三香不成△9二角▲同香成△同玉▲7四角△8一玉▲8一歩成△同玉▲7二角△9一玉▲9二角成△同玉▲8三角成△8一玉▲8二金まで23手詰め

となっています。

普通の人にとっては23手詰めというだけで解ける気がしないのに、この問題は大道詰将棋の基本の問題のため最も簡単な部類というのが恐ろしいところです。

また、大道詰将棋はちょっと配置を変えると詰み手順も変わってくるという特徴があります。

 

 

さっきより盤面の駒が増えていて問題の難易度もかなり上がっています。

解くことは推奨しないのでさっさとネタバレをしてしまいますが、この問題は最後5三の銀を角で取って詰ますという初期配置から考えられない詰め上がりをします。

現代では法律上の問題で大道詰将棋がその辺の道端でやっているということはありえませんが、もしあったとしてもやらないほうが懸命です。

だってこんなの普通の人じゃなくても簡単に解けないですから。。。

 

大道詰将棋を300問解いて強くなったのか?

前置きがとっても長くなってしまいました。

約半年間で300問大道詰将棋を解いたのですが、強くなったのかズバリ結論から言います。

大道詰将棋を解いたことによる上達の効果はそこまでなかったです。

将棋倶楽部24のレートにしてR50アップぐらいの効果でしょうか。

1問平均30分くらいかかっているので、150時間でR50アップと考えると効率が良くないですね。

でも大道詰将棋を解くことで少し能力が上がったなと思う点もいくつかありました。

 

盤面の左側で考える能力が上がった

まず一般の詰将棋は5筋から1筋までの右側に駒が配置されているのがほとんどです。

例としてはこんな感じ。

 

 

大体の詰将棋が駒を右側に配置している理由は新聞や雑誌に掲載するときに右側のほうが都合がいいかららしいです。

逆に大道詰将棋は先程紹介した2問のように、左側がほとんどです。

理由としては普段右側で配置してあるので、逆に慣れていない左側に配置することで客の思考力を少しでも削ごうという思惑があるようです。

そういうわけで普通の詰将棋しか解いていなかったため、左側に駒があるのは不慣れでしたが大道詰将棋を解くことで左側で考えることに慣れました。

結果、対振り飛車の終盤戦で敵玉の詰みを考えるのが少し楽になった・・・ような気がします。

大道詰将棋を解いて上がった能力1

盤面の左側で考えるのが楽になった

 

狭い局面での思考スピードが上がった

大道詰将棋はいくつかある詰みパターンをひたすら当てはめていくという作業になります。

さっきの香歩問題なら、初手▲6三桂不成、▲7二歩、▲8三桂不成を順番にあてはめて考えていくような感じです。

脳内でひたすら駒を動かすので狭い局面では駒を動かすスピードが上がりました。

終盤戦の穴熊の金銀の剥がし合いみたいな局面の読むスピードは上がった・・・ような気がします。

 

大道詰将棋を解いて上がった能力2

狭い局面(穴熊など)の読むスピードが上がった

 

結論、どちらも気がする程度の効果しかありません・・・R50くらいの効果だったらこんなものでしょうかね。

まとめ

大道詰将棋とはどういうものなのか?というちょっとした紹介と実際に300問解いた効果についてのお話でした。

歴代最強と言われるアマ名人の平畑善介や、ぼくの個人的に好きな小池重明も大道詰将棋を解いて強くなったようですが、現代ではもっと効率の良い勉強がたくさんあります。

なのであえてこれからの時代に大道詰将棋を上達目的で解くのはおすすめしません。

しかし大道詰将棋は芸術作品としてとても楽しめるので、解いたことがない人は試しに10問くらい解いてみるといいと思います。

 

 

大道詰将棋を解くことで将棋の奥深さを再認識できるかもしれません。