よくわかる振り飛車

4手目△3五歩で後手番早石田のススメ

 

後手番で早石田をやるには▲7六歩△3四歩▲2六歩に△4ニ飛、もしくは△3五歩▲6八玉△4ニ飛とする343戦法を選ぶのが普通です。

 

 

しかし343戦法は一度飛車を途中下車するため一手損となってしまいます。

後手番の早石田は千日手狙いになることもあるため、手損はそこまで気にならない戦法ですが、できれば手損はせずに速攻を仕掛けたいところです。

というわけで今回は飛車の途中下車をしないで通常の定跡より手得をする変化を選ぶとどうなるか?というのがテーマです。

ひたすら「通常の定跡より手得をする」をコンセプトに紹介してしていきますので、興味のある方はぜひ読みすすめてみてください!

 

4手目△3五歩に対する4つの指し方

▲7六歩△3四歩▲2六歩△3五歩と指された局面で先手から指される手は主に4つあります。

  1. ▲4八銀
  2. ▲2五歩
  3. ▲6八玉
  4. ▲5六歩

 

このうち①の▲4八銀は早石田対策を良く知らない人が指してくる手で、後手としては何の心配もなく△3ニ飛と回ることができます。

以下▲2ニ角成△同銀▲6五角と打つ手には△5五角の返し技があり、▲9八香△9九角成で後手優勢になります。

次に②の▲2五歩ですが、これにも△3ニ飛とストレートに回ります。

以下▲2四歩△同歩▲同飛△3六歩が定跡の進行です。

 

 

これにうっかり▲同歩と取り、△8八角成▲同銀△1五角と進んだ局面は定跡で王手飛車のかかった局面で最も有名な形になります。

この印象が強すぎるのでこの局面は後手良しと認識されていることが多いのですが、実際は▲2三飛成とし、△8八角成▲同銀△2ニ飛▲同竜△同銀・・・と進んで互角の形勢です。

互角の形勢ですが先手番の良さを失っている形と言えるので、先手としては不満な展開です。

というわけでここまで見てきた①▲4八銀と②▲2五歩はどちらもストレートに△3ニ飛と回ることができそうです。

そこでストレートに△3ニ飛と回らせない狙いを持った③▲6八玉④▲5六歩についてみていきます。

 

4手目△3五歩に▲6八玉

 

4手目△3五歩に対しては上図の▲6八玉と指されることが一番多いです。

以下△3ニ飛と回ると▲2ニ角成△同銀▲6五角と打つ変化があります。

 

 

もし先手の玉が6八に居なければ△3四角と打つのが定跡通りの受け方で、以下▲7八銀と▲7八金のように6七の地点を守る手に、△7ニ金と受けて角の働きの差で後手が指せるという結論でした。

しかし予め▲6八玉と上がっているので△3四角と受けることができません。

△3四角と打てないなら両成りが受からないので先手優勢に見えますが、もちろんちゃんとした返し技があります。

それが上図から△5ニ玉▲8三角成△3六歩▲同歩△5五角と切り返して、以下▲7七桂△3六飛▲3七歩△7六飛▲7八金△7四歩が定跡の進行です。

 

 

馬対生角ですが、7七の桂馬が弱点があるのでこの展開は後手も十分指せます。

後手の狭そうに見える7六の飛はいずれ△7五飛と引いて、先手の馬と交換を狙っていく感じになります。

一例としては▲5六歩△3三角▲8四馬△7五飛▲4八銀△7ニ金▲5七銀△8三歩▲7五馬△同歩・・・といった感じです。

このように7筋の歩をどんどん伸ばして桂頭を歩で攻めることができる展開になれば後手良しになります。

ちなみにこの▲6五角と打たれる定跡は似た形が先手番早石田でも登場します。

 

▲7六歩△3四歩▲7五歩△4ニ玉▲7八飛△8八角成
▲同銀△4五角(下図)

 

 

この局面は先手が芳しくないため4手目△4ニ玉に対しては▲6六歩と止めるのが一般的です。

先手番で指しても良くないなら、後手番で指すのは手損だしもっとダメとされるものなのですが、先手の▲2六歩と突いている形はむしろ△2七角と△2七飛のような打ち込みが生じるので後手にとってプラスではないかというのが主張です。

 

▲2六歩と突いてある形を生かした居飛車の指し方

手順を戻して以下の局面から考え直してみましょう。

 

 

ここで▲3七歩なら△7六飛から△7四歩で▲2六歩と突いてあるのが傷になるので返って後手にプラスになるのではないかという主張でした。

そこで、▲2六歩と突いてある形を生かす▲6五馬という手をみていきます。

ここで▲6五馬は先手番早石田の形だったら成立しない手で、▲2六歩と突いてあるから成立します。

その理由はこのあとわかります。

まずひと目見えるのが△2八角成▲同銀△3八飛と強襲する手順です。

しかしこの手順を誘うのが先手の狙いで、以下▲同金△同飛成▲5八飛と進みます。

 

 

一見△4八金で技が決まっているように見えますが、▲4三馬!が返し技で、△同玉▲1六角と打ち王手竜取りが決まります。

なので▲5八飛には△2九竜と桂を取りますが、▲4六歩△4九竜▲1六角としつこく竜取りにいくのが厳しい指し方です。

 

 

△4六竜は▲3七銀△4四竜▲4三馬△同竜▲4四歩で先手必勝形になるので△5八竜▲同金と進みますが、角と馬の力が強く先手指しやすい局面です。

▲2六歩と突いてあるがためにこの▲1六角という筋が生じているという変化でした。

もちろんこれで▲6五馬と引かれた局面は後手が悪いということはなく、△3五飛と引く手が正解です。

 

 

次に△7七角成▲同玉△6五飛の狙い筋があるので▲5五馬と取りますが、△同飛▲6六角△3三角▲5五角△同角と進んだ局面は完全互角の局面と言えそうです。

 

▲6五角と打ってくる指し方は▲2六歩と突いてある形が後手にとって都合が良い手になっているので、後手も互角に指せる展開

 

▲6八玉△3ニ飛に▲2五歩

△3ニ飛に角交換をしてから▲6五角の変化ですぐに先手良しになる変化は見つからなさそうなので、▲2五歩とする手をみていきます。

 

 

上図の▲2五歩に対しては一番多く指されているのは△4ニ金という手です。

以下▲7八玉△6ニ玉▲4八銀△7ニ金▲2四歩△同歩▲同飛△8八角成▲同銀△2ニ飛と進むのが一例です。

 

 

ここから飛車交換になっても▲2三歩と打たれてもいずれ△3ニ金と形を戻していく感じになります。

冒頭でも言ったとおり早石田という戦型はそこまで手損を気にしないので、こういう1手損の変化はそこまで抵抗なく指せます。

しかし今回は手得をするということがコンセプトなので、手損してしまう△4ニ金以外の手を紹介します。

それが▲2五歩に対して△6ニ玉とする手です。

 

 

普通に囲っただけの手に見えますが、▲2ニ角成△同銀▲6五角と打たれるのを受けた手になっていません。

先手としても▲7八玉と普通に指すようでは△7ニ玉とされて後手の手得狙いをまんまと成功させてしまうので、角交換から▲6五角と打つしかありません。

しかしその変化は先程と同じように△5ニ玉!▲8三角成△3六歩▲同歩△5五角▲7七桂△3六飛と進めます。

 

 

今回の記事は手得がコンセプトと言いつつ、△6ニ玉としてから△5ニ玉と指しているので1手損です。

その手損分は先手の▲2五歩の一手が入った換算です。

しかしこの▲2五歩と2手入っている分も後手にとって都合が良いというのが主張です。

つまり後手にとって一番嫌なのが歩が2七の地点にあることで、それと比べたら▲2六歩と▲2五歩と入っている形のほうが後手にとって好ましいということになります。

上図は▲2五歩が邪魔をしているので▲1六角が打てず、先程のように▲6五馬と引く変化は△2八角成~△3八飛で後手優勢になります。

そのため、▲3七歩△7六飛▲7八金△7四歩の変化に進みます。

このとき▲2五歩まで伸びているのが通常の定跡系とどう変わってくるかというところですが、すぐに後手が悪くなる変化も見つからなかったので後手番の作戦としてはまずまずじゃないかなと思います。

 

4手目△3五歩に▲5六歩

個人的には△3五歩に▲5六歩と突かれるのがもっとも強敵です。

 

 

この手は△3ニ飛▲2ニ角成△同銀▲6五角と進んだとき、△3四角と△5五角からの反撃の筋を防いでいる意味合いです。

なので手得をするというコンセプトと言えども、▲5六歩に対してだけは△3ニ飛とストレートに振るのはできません。

しかし▲5六歩はのちに升田式石田流の形になれば「角交換将棋に5筋は突くな」の格言に反する形になりそうなので、先手としても喜んで指したい手ではありません。

なので後手も妥協して△4ニ飛と途中下車をしてからあとで△3ニ飛から△3四飛と指していきます。

 

上図から△4ニ飛▲6八玉△6ニ玉▲7八玉△7ニ玉▲2五歩
△3ニ飛(下図)

 

 

ここで▲2四歩は△同歩▲同飛△8八角成▲同銀△2ニ飛の切り返しで、5六の歩を突いてあるのが通常形の違いですが、△5七角の打ち込みや、△4五角といった手があるのでむしろ負担になりそうです。

なので普通に駒組みを進める展開になります。

以下一例ですが、升田式石田流に組み上げると下図のような局面になります。

 

 

先手は▲5六歩と突いたのを生かして5筋の位を取り、▲5六角や▲5七角などの攻めを狙っていく展開になります。

上図は1局の将棋だと思いますが、手損をしているのもあって先手に主導権のある展開と言えそうです。

 

4手目△3五歩はどんな人におすすめ、おすすめできないのか

これまで見てきたように、4手目△3五歩は激しい展開になることもあれば、升田式石田流になることもあります。

また、今回は紹介しませんが、△3四飛と上がってきたときに▲2ニ角成としてこなければ、△3三桂と跳ねて石田流本組の形になることもあります。

 

 

なので4手目△3五歩をおすすめできる人、できない人が結構はっきり分かれてきます。

 

4手目△3五歩をおすすめできる人
  • 振り飛車党の人
  • 定跡の研究が嫌いな人
  • 升田式石田流の形が好きな人
  • 横歩取りは研究したくないが、横歩取りに興味がある人
  • 居玉の戦いに抵抗がない人

 

おすすめできる人は上記の5つに該当する人です。

横歩取りに興味はあるけど、細かい序盤の変化を研究するのが嫌いな人には特におすすめです。

理由は先程紹介した▲6五角と打たれて△5五角から切り返す、馬対生角の変化は横歩取りに似た感じの局面になり、登場頻度も結構高いからです。

 

 

4手目△3五歩をおすすめできない人
  • 居飛車党の人
  • 玉を囲わないと不安になる人
  • 乱戦が嫌いな人
  • 升田式石田流の形が苦手な人

 

4手目△3五歩をおすすめできない人は、振り飛車はとりあえず美濃囲いに囲えるという安心感があるからやっているというようなタイプの人です。

4手目△3五歩は美濃囲いに囲えることが少なく、囲えたとしても金銀2枚だけの囲いになることが多いです。

なので堅い美濃が好きというような人は別の戦法をやったほうがいいでしょうね。

 

まとめ

4手目△3五歩の早石田を「通常の定跡より手得する」というコンセプトで紹介しました。

しかし手得を狙うとか言いつつも、△6ニ玉と寄ったのに△5ニ玉とする純粋な一手損の変化も出てきたりして混乱をさせてしまったかもしれませんが・・・。

ぼくも4手目△3五歩の将棋はそれなりに指してきましたが、居飛車側があまり対策を知らないということもあってか、勝率はかなり良かったです。

特に馬対生角の変化なんかは経験値の差が出やすい局面なので、圧勝の将棋がかなり多かったですね。

4手目△3五歩の世界に興味を持った人は、ぜひ実戦でも試してみてくださいね!

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