高田流左玉はマイナー戦法の中でも優秀な戦法だと思っていて、私自身1000局以上高田流左玉を指しています。
元々高田流左玉という戦法の存在を知らなかったのですが、何回挑んでも勝てない高田流使いの人に出会い、戦法の急所を使うために自分でも指していたらいつの間にか得意戦法になっていました。
現代将棋では対振り飛車に優秀な作戦がたくさんあるので、高田流をメインに使っている人はそんなにいませんが、相手の研究を外したり力を図ったりするときによく使っています。
そんな高田流左玉が大好きな私が、
- 高田流左玉の狙いや魅力について
- 高田流左玉の序盤の駒組みの指し方
- 高田流左玉の勉強方法や実戦譜の解説
主にこの3つについて紹介していきたいと思います。
この記事に全て目を通せばすぐにでも高田流左玉を実戦で使えるようになっているはずです!(多分)
Contents
高田流左玉とは?
高田流左玉という戦法は、対振り飛車に使われる右玉にやや似たような戦法となっていますが、右玉と大きく違うのは6筋の位を取って手厚く戦うという点です。
以下の局面が6筋の位を取り、高田流左玉が組み上がった理想図です。
6五の位を取り、6六の地点に角を据えることで端攻めの狙いと後手の3三の桂と1一の香を睨んでいるのがメリットです。
後手は6筋の位を取られているので、△6四歩から△6三金と高美濃に組むことができず、進展性に乏しいため持久戦になると先手の高田流側が有利になっていきます。
なので振り飛車としては持久戦になる前に攻め潰し狙い、高田流側はその軽い攻めを受け潰すという構図になりやすいです。
- 受けが好きな人
- 右玉をよく指す人
- 定跡を勉強するのが嫌いな人
- マイナー戦法が好きな人
また、高田流左玉のメリットとして、
- ▲7六歩△3四歩▲6六歩△3ニ飛
- ▲7六歩△3四歩▲6八飛
- ▲7六歩△3四歩▲7五歩
- ▲7六歩△3四歩▲6六歩△6ニ銀▲7八飛
・・・などなど色々な振り飛車の出だしに対して使うことができるので、先手番後手番問わず相手が振り飛車党ならかなりの頻度で使うことができる戦法です。
唯一使いにくいのが、▲5六歩の対先手中飛車だけですが、それすら無理やり組もうと思えば組むことができてしまいます。
そして、高田流左玉はマイナーでほとんど指されない上に独自の感覚が求められるので、慣れていない人にはあっさり勝てることが多いです。
高田流左玉の組み方
高田流左玉は先手番でも後手番でも相手が振り飛車をしてくれれば大体使うことができます。
今回は▲7六歩△3四歩▲6六歩△3二飛の出だしから高田流左玉をする指し方を見ていきたいと思います。
初手から▲7六歩△3四歩▲6六歩△3二飛▲7八銀△6二玉
▲6七銀△7二銀(下図)
まずは普通の相振り飛車の出だしです。
ここから▲7七角△7一玉▲8八飛と向かい飛車にすればよくある定跡系ですが、高田流左玉はここから見慣れない展開になります。
▲4八銀△7一玉▲5六歩△3五歩▲5七銀△4二銀▲6五歩(下図)
▲4八銀と上がると一見ここから居飛車にするのかと思われそうですが、▲5七銀から▲6五歩と位を取るのが狙いの一手です。
▲6五歩に対して△5二金左とすると▲2二角成△同飛▲4六銀と出られて3五の歩が負担になります。
△8八角成とするのも▲同飛と手順に飛車を振ることができ、後手陣はバランスが取りづらいので、ここは△4四歩と角道を止めるのが普通です。
そこで高田流左玉の骨子の一手▲6六角と上がります。
△4四歩▲6六角△4三銀▲7七桂△1四歩▲8八飛
△3六歩▲同歩△同飛▲8六歩△5二金左▲8五歩
△3三桂▲3七歩△3四飛▲3八金(下図)
この辺は一気に進めましたが、後手としても色々指し方があります。
先手としてはまだ居玉の状態なので強襲をされないよう細心の注意を払って指し手を選ばないといけません。
なお、今回はわかりやすくするため後手がやや悠長な指し方を選んだ場合の解説をしていきます。
△1三角▲5八金△2四歩▲8四歩△同歩▲同飛
△8三歩▲8九飛△2五歩▲6九飛△2四飛▲7八玉
△2六歩▲同歩△同飛▲2七歩△2四飛▲9六歩(下図)
▲7八玉まで指すことができれば高田流左玉の形は完成です。
高田流左玉は敵の駒を責めて勝て!
高田流左玉を組み上げて、上図▲9六歩と突いた局面は先手の作戦勝ちになっています。
△9四歩と受ければ、▲9五歩△同歩▲9三歩と端攻めをして先手優勢になります。
△5四銀と銀を繰り出すのが先手の薄い角頭を狙った自然な一手ですが、▲6八銀と引いて次に▲5七角から角交換を狙います。
バランス良く構えている左玉陣は大体の場合角交換は歓迎なので積極的に狙っていきます。
▲6八銀に対しては仕方なく△3四飛として角交換を避けますが、▲9五歩と悠々端を伸ばしておきます。
一度後手側を持って考えてみるとわかるのですが、思った以上に指す手がなくてとても困っています。
上図の局面から一例の手順として、△2四角と手待ちをする一手には▲2六歩と右辺から敵の大駒を抑え込んでいくのが左玉らしい着想。
以下△4五銀▲2七金△3六歩▲2五歩△1三角▲3六歩△同銀▲3五歩△同角▲3六金△6八角成▲同玉△3六飛▲3七銀・・・
指す手がなくなった後手に無理攻めを誘って弾き返すのが左玉の勝ちパターンの1つです。
途中△6八角成に普通の感覚は▲同金と取り返して玉の位置が戦場から一路遠いようにするのですが、▲同玉と取り返すのは左玉らしい感覚です。
金を5八に置いたままにすることで4七の地点に紐をつけておき、自陣につけ入るスキを与えません。
場合によっては入玉すら視野に入れています。
もちろん▲9四歩から端攻めで攻め潰すという指し方もあるのですが、左玉を指すからには右辺で敵の駒を押しつぶして受けきり勝ちという展開を好んでやっていただければと思います。
敵の駒を責めて勝つというのはストレートに攻め潰して勝つのとは違った楽しさがありますよ!
左玉は敵玉を攻めるより敵の攻め駒を押さえつけて勝とう!
さて、高田流の指し方や狙いを紹介したところで、次は高田流対策を見ていきましょう。
どのような対策があるかを知っておくことで、より高田流への理解が深まります。
高田流左玉対策①組まれる前に仕掛ける
初手から▲7六歩△3四歩▲6六歩△3二飛▲7八銀△6二玉
▲6七銀△7二銀▲4八銀△7一玉▲5六歩△3五歩
▲5七銀△4二銀▲6五歩△4四歩▲6六角△4三銀
▲7七桂△3六歩▲同歩△同飛▲8八飛(下図)
ここから普通の人は△1四歩から△1三角と石田流本組の形を目指したり△1四歩~△1五歩と端攻めを狙ってくるのですが、△5四銀と角頭にプレッシャーをかけるのが嫌味な一手です。
以下▲3七歩なら△3五飛と引いて、次に△6五銀と銀桂交換の突進を狙う手が気になります。
駒損ながら飛車で6六の角を取って△4五歩と角道を通す攻めが非常にうるさいので先手としては嫌味です。
▲5五歩と銀を追い払う手には△4三銀と引いておき、一見ただの手損のようですが、以下▲8六歩△4五歩▲8五歩△3四飛▲3七歩△5二金左と進めます。
こうなると△5四歩や△4四銀から争点ができるので、1局ではありますが先手はここから左玉の完成形まで持ち込むのに相当時間がかかり、居玉のまま戦うこともありえそうです。
また、高田流左玉の理想はもちろん左に囲うことですが、6筋から攻められそうとか展開によってはしぶしぶ玉を右に囲う場合もあります。
角頭を狙ったプロの実戦例
高田流左玉はかなりマイナーな戦法なのでほとんどプロの対局では登場しませんが、振り飛車側が華麗に左玉を攻め潰したプロの実戦があるのでそれを紹介します。
ここで紹介するのは2009年に指された先手広瀬章人、後手星野良生の新人王戦での対局です。
上図は△4四角と出て高田流左玉を目指したところです。
先手は四間飛車の出だしですが▲7五歩と突いており、ここから三間飛車に振り直します。
▲7八飛△3三桂▲9六歩△2二飛▲7八飛△2二飛
▲9七角△4二金▲7四歩△同歩▲同飛△7三歩
▲7六飛△2四歩▲4六歩(下図)
7筋の歩交換をして一歩を持ち駒にしたところで▲4六歩と仕掛けます。
後手の飛車先の歩が2四なのがポイントです。
実戦は△同歩と応じましたがこれが悪手でした。
以下▲4五歩△5五角▲5三角成!△同金▲5六歩で角取りが受からず先手優勢になりました。
後手の歩が2三、もしくは2五であれば▲4五歩に△3五角とかわして、▲3六歩に△2四角と逃げることができましたが、2四なので3五にかわすと▲3六歩で角が詰んでしまいます。
▲4六歩には歩を取らずに△2五歩などとし、▲4五歩△3五角とかわして勝負するところでした。
とはいえこの位を明け渡すと左に囲う展開にはなりづらく、後手としては心理的にはやりづらいですね。
振り飛車側は歩を持ち駒にして後手の飛車先の歩が2四にいるときに▲4六歩と仕掛けるのが狙い目
高田流左玉対策②矢倉に組む
①の振り飛車側の速攻狙いをやられると、左玉目線で見ると左側に囲う狙い通りの展開にしづらくやられると嫌な指し方です。
しかし局面自体は互角なので、左玉に慣れている相手であればうまく指しこなしてくるかもしれません。
なので多くの人にとっては、高田流左玉対策にはこれから紹介する矢倉に組むのをおすすめします。
おすすめの理由としては、
- 序盤の指し方がわかりやすい
- 中盤戦以降の方針もわかりやすい
- 矢倉なので玉も堅い
と、いいところばっかりです。
それでは早速矢倉の組み方をみていきましょう。
初手から▲7六歩△3四歩▲6六歩△3二飛▲7八銀△6二玉
▲6七銀△7二銀▲4八銀△7一玉▲5六歩△3五歩
▲5七銀△4二銀▲6五歩△4四歩▲6六角△4三銀
▲7七桂△5二金左▲8八飛(下図)
まず最初に矢倉に組む上で重要なことを紹介すると、△7四歩と突くのは先手が▲7七桂、▲8八飛の2手を見てからにしましょう。
例えば▲7七桂と跳ねる前に△7四歩と突くと、▲7八飛と振られて矢倉に組み上げる前に強襲を喰らう危険性があります。
▲7七桂と跳ねたあとも、▲8八飛と振る前なら▲7八飛とされる手も生じます。

上図の▲7八飛と振られた局面もすぐ潰れるというわけではないので、1局ではありますが、無駄な変化はなくすに限ります。
先手の▲7七桂と▲8八飛を見てから△7四歩と突いて矢倉を目指すことで、▲7八飛から7筋の攻め筋を与えない
それでは局面を戻して▲8八飛と回った局面からみていきましょう。

△7四歩▲3八金△7三銀▲5八金△7二金(下図)

これで無事矢倉に組み上げることができました。
後手のここからの狙いとしては、△3六歩から一歩を手持ちにして△6四歩▲同歩△6五歩と仕掛けるというのがあります。
先程もプロの実戦で歩を手持ちにして角頭を攻めるという指し方が出てきましたが、矢倉にしているので攻めに厚みがあるのと、▲7五角と逃げる余地を消しています。
先手としてはどうやっても6筋方面が戦場になるのを避けられないので、ここから囲うとしたら▲4八玉と右側に玉を移動させないといけません。
しかしそれは左玉にならないですし、相振り飛車として局面を見ると、主導権は後手が握っていて先手不満の展開です。
先手が矢倉を防ぐとすれば以下の局面のように△7四歩と突かれる前に▲7五歩と突いておくという考え方はあります。

このように▲7五歩と突けば矢倉にできず、角頭も▲7六銀と上がれば手厚くあります。
しかしこの指し方も玉を左側に囲う展開には相当なりにくく、6六の角の利きを生かして端攻めをするという展開にもならないので高田流左玉のメリットはなくなります。
というわけで、▲6六角型の高田流左玉に対して矢倉に組むというのは再現性も高いですし、手順もわかりやすいのでかなりおすすめです。
高田流左玉の勉強方法
高田流左玉を複数回指しているプロは名前の元になっている高田尚平先生しかいません。
なので高田流左玉を勉強するとしても、高田先生の本を買うか棋譜を並べるくらいしかありません。
この本は高田流変幻位取りという将棋界で知っている人1割くらいしかいなさそうな指し方についても唯一触れているので、高田流使いだけではなく定跡マニアの人にもおすすめの1冊です。
私も左玉を得意戦法にするためにこの本を読んで、高田先生の高田流の棋譜は全て並べましたが、そこまで棋譜の数が多くないので序盤をマスターするのは大変です。
なので高田流のようなマイナー戦法は実戦でひたすら指すのがいいですね。
高田流の実戦譜
最後に私のお気に入りの棋譜で、将棋倶楽部24の八段同士の高田流を紹介します。
棋譜並べはプロ同士の棋譜を並べるのが1番勉強になりますが、マイナー戦法などはプロの棋譜を並べるよりネット強豪の棋譜のほうが勉強になることもあります。
初手から
▲7六歩△3四歩▲6六歩△3二飛▲4八銀△6二玉
▲5六歩△3五歩▲7八銀△7二玉▲6七銀△8二玉
▲7九角△4二銀▲7七桂△1四歩▲5七銀△4四歩
▲8八飛(下図)

今まで紹介した指し方は▲6五歩と位を確保してから▲6六角と出す形でしたが、この将棋では▲6五歩と突かずに▲7九角と引いて飛車を振る指し方を選んでいます。
この形は6六角型に対しての速攻を警戒し、△6四歩と位取りを拒否してくれば相振り飛車っぽく指し、場合によっては相手の指し方次第では▲4六銀と相手の3五の歩を狙う狙いを秘めています。
上図から
△5二金左▲8六歩△7二金▲8五歩△6二金左▲8四歩
△同歩▲同飛△8三歩▲8九飛△4三銀▲5八金左
△9二香(下図)

相手は△9ニ香と上がって穴熊に組む意思を見せました。
高田流に対して穴熊はやっかいな指し方の1つで、堅さを生かしてばんばん攻められるのは嫌ですね。
特に矢倉や美濃囲いと違って6~7筋を攻めても自玉にあまり反動がないので、△7四歩から△7五歩みたいな歩を使った攻めが厳しいということがあります。
上図から
▲4六歩△3六歩▲同歩△同飛▲3七歩△3四飛
▲3八金△9一玉▲6八角△8二銀▲6九玉△5四銀
▲7八玉△1三角▲4七金左△3三桂▲3六歩(下図)

先手も後手も囲いを完成させ、いよいよ中盤戦に入ります。
上図では▲3七桂や▲6五歩、▲9六歩~▲9五歩なら先手にだけ指したい手がたくさんありますが、後手はそこまで指したい手がありません。
△6四歩と突くのは▲5五歩と突かれて銀を引かされるのはどうかというところですし、△9四歩も▲9六歩の交換は損得が微妙なところです。
△7四歩と1回突いておく手は△7五歩や場合によっては△7三桂のような手を見せて味の良さそうな手でしたが、実戦は△4五歩と仕掛けてきました。
上図から
△4五歩▲3七桂△7四歩▲6五歩△7三金左▲6六銀右 (下図)

遅ればせながら▲6五歩と位を取って▲6六銀右と好位置に銀を配置します。
△4六歩なら▲同角△同角▲同金と取って▲2ニ角などの敵陣への角の打ち込みに期待する展開になります。
嫌なのは△6四歩▲同歩△6五歩とガリガリ攻められる手ですが、▲同桂△同銀▲同銀△6四金▲同銀△同飛▲6六歩ですぐに決められることはなさそうです。

後手としても自玉が薄くなるので飛車がいなくなったときの▲6四桂や▲6一銀の筋を気にしなくてはいけないため、やりづらい手順かもしれません。
でも高田流側としては敵玉に触れるときは余裕を持った1手勝ちのときか、不利を自覚したときの特攻のどちらかのパターンなので、こういう自玉を削った攻めも嫌ではありますが・・・。
▲6六銀右の局面から
△4四飛▲4五桂△同桂▲5五歩△4三銀▲4五歩
△同飛 ▲1三角成△同香▲4六歩△4四飛▲2二角
△6四歩▲同歩△6五歩▲同桂 △6四金▲5六金
△3四飛▲1三角成△6五金▲同銀 △7三桂打▲6六歩
△8五桂打▲6八金△7五歩(下図)

▲6六銀右に対しての△4四飛は悪手で、▲4五桂△同桂に▲5五歩と突くのが手筋でした。
以下△4三銀と引かせてから▲4五歩と桂を取り、角交換を入れて▲2ニ角と打った局面は先手優勢です。
後手も手段を尽くして攻めてきますが、△4三銀と引かされているのが辛く、攻めは急所に刺さりません。
しかし玉の遠さを生かして6~7筋方面から手を作ってきて、嫌味嫌味で迫っています。
一気に進めましたが、この辺りは高田流の受けの感覚を味わっていただければと思います。
上図から
▲8六歩△6五桂▲8五歩△7七銀▲同金△同桂成
▲同玉△7六歩▲同銀△7五歩▲同銀△7四歩
▲8六銀△5八角▲6七銀△3六角成▲3五歩△同馬
▲2三馬△7五歩▲同銀△7六歩▲同銀△7四歩
▲同銀△同飛▲7五香△同飛▲同銀△7六歩
▲同玉△3四馬▲同馬△同銀(下図)

また一気に進めましたが、特筆すべき点は先手が序盤から1回も敵玉を攻めていないところですね。
高田流は元々受けに回る展開が多いのですが、対穴熊は特にその傾向があり、相手の攻めを受け止める→姿焼き→投了。みたいな1手も攻めないで勝つ将棋がかなり多いです。
さて、本譜はひたすら受け続けて上図は飛桂と銀の交換で圧倒的に駒得なのですが、現状△7八角や△7三香▲7四歩△同香▲同銀△7五歩から押さえつけていく攻めなど色々嫌な筋が見えます。
並の発想は▲6七玉と引いておいて△7八角の筋を防ぐ手ですが、△7六香とタダ捨てされて▲7七歩△同香成▲同玉△7六歩・・・と無理やり手番を握って攻めてくる手があります。
優勢ながらも受けの手が見えづらく、30秒将棋という条件の中、先手が指した次の一手は・・・
上図から
▲7八飛△7三香▲7四歩△同香▲同銀△7五歩
▲6七玉△7六銀▲同飛△同歩▲7八香△7七金
▲同香△同歩成▲同玉△5八飛▲6四桂△3八飛成
▲7ニ桂成△7五香▲8六玉まで

▲7八飛!と打つのが高田流らしい受けの妙手でした。
この自陣飛車で一気に自陣への打ち込みがなくなり、受け切りがはっきりしています。
以下△7三香から歩を奪って攻めてきましたが、速度計算をきっちりして先手の一手勝ちとなりました。
1局を振り返ると、序盤は高田流らしく見慣れない独特な出だしから始まり、中盤の仕掛け以降は1手も攻めることなくひたすら受け続けていました。
終盤は中段玉からの自陣飛車で速度計算を見切って攻めのターンが回ってからはすぐ決着が着くという、序盤から終盤まで高田流らしいお手本のような1局でした。
まとめ
高田流左玉の組み方考え方と、相手にどのような対策があるかを紹介しました。
序盤は居玉なため慎重に駒組みをしないといけないですが、無事に組み上げてしまえば作戦勝ちになっているという展開が多いのが高田流左玉という戦法です。
そして勝ち方は敵玉を攻めて勝つより敵の攻め駒を抑えつけて受けきり勝ちが理想です。
感覚を掴めたら、ぜひ1回実戦で指してみましょう!
