今は将棋ウォーズや将棋倶楽部24といった将棋対局アプリがあるので、対戦相手に困ることがない時代ですよね。
将棋の研究も1人でするより将棋ソフトを使って検討させたほうが効率は良いでしょう。
なので現代に需要はないかもしれませんが、ネット将棋がまだ普及していなかった時代に、私が実践していた1人将棋という勉強法があるので、その効果や体験談について紹介したいと思います。
1人将棋とはなにか?
1人将棋とは先手も後手も自分で考えて指すという、傍目からみたらとても寂しい勉強法です。
こんな勉強法やる人がいるのかと思いそうですが、プロ棋士でもこの勉強法をやっていたという人がいます。
有名所では藤井猛九段が子供時代にやっていたようですね。
1人将棋という勉強法が普通の研究と違う点は、
- 駒を動かしたりせずとことん考えてから指す
- 1回1回盤をひっくり返して考える
- どちらかの形勢が悪くなった時点で打ち切ったりせず最後まで指す
- 待ったなし
この4つの違いがあります。
とことん考えるというのがポイントで、対人戦だと持ち時間を決められていることがほとんどなので、とことん考えることはできません。
しかし1人将棋なら相手が居ないので、気兼ねなく時間無制限にすることができて、好きなだけ考えることができます。
1人将棋の体験談
私が将棋を始めたばかりの頃は家にパソコンがなく、ネットで将棋を指すという発想がありませんでした。
そして田舎に住んでいたため人と将棋と指すという機械なく、いつも実践不足だったので、なんとかしようと考えだしたのが1人将棋という勉強法でした。
最初のうちは、1手指したら盤をひっくり返してまた指したらひっくり返して盤の向きを戻す・・・
というのを繰り返して、1局に1時間くらいかけて終わらせるだけでしたが、だんだん1局にかける時間が長くなって、最終的には1局に3週間ぐらいかけるようになりましたね。
途中からは1人将棋をやりながら棋譜も同時に取るようになり、自分が頭の中で考えていた読み筋をノートに書き残してあとで反省するということもやるようになっていきました。
ひふみんこと加藤九段は6手目に2時間以上長考したそうですが、そんな感じで私も10手目の段階で10時間ぐらい納得するまで読みまくってましたね。
効率の良い勉強法とは言えませんが、何十手先を読む力や、脳内将棋盤の獲得、序盤への理解度が上がって将棋の基礎力はかなり上がったと思っています。
自分の棋力のうち10%くらいは1人将棋で勉強した効果が占めているでしょうね。
あとは1人将棋の効果として、自分の読み筋をノートに書き残しておいたのが良かったですね。
数年後に読み返してみると、何時間かけて読んだ手でも一瞬でだめな手と判断できてしまったり、読み筋にクセがあったりと自分の成長を実感することができます。
対局中に読み筋を書き残すことができるというのは1人将棋以外ではすることができないので、1人将棋特有のメリットだと思います。
大会やネット将棋のあとに対局中の読み筋を思い出して書くということはできますが、対局後だと忘れていることも多いので、リアルタイムで読み筋を書ける1人将棋の新鮮さには敵いません。
1人将棋は効率が悪いが1度はやってみてほしい勉強法
1人将棋という勉強はネットが使えず、人と将棋を指すことができなかったときに編み出した苦肉の策なので、現代のどこでも人と将棋を指せるという環境ではあまり効率は良くありません。
自分の頭でひたすら考えて結論を出すというのは大事なことではありますが、最速で将棋初段を目指すという点ではもっと効率の良い勉強法はたくさんあります。
しかしアマチュアでは1手に5分以上考えることはほとんどないと思うので、1人将棋でじっくり考えるという勉強法も経験するのはありです。
深く考えることで自分の限界を突破して棋力が上がる場合もありますからね。
そして深く考えるのは純粋に楽しいので、自分も教え子に1人将棋を指して棋譜と読み筋を書いて見せてもらうという勉強法を1回やってもらったのですが、残念ながら不評でした・・・。
読み筋を書き出すというのは結構難しい作業なので、そこが大変だったみたいです。
でも数年後に過去の自分の読み筋が確認できるというのは、面白いものなのでぜひ1度やってみてほしいと思います。
まとめ
1人将棋はとことん考えることができて、自分の読み筋を書き残すことができるという特徴のある勉強法です。
将棋の勉強の環境が整っている現代においては効率は良くありませんが、自分の過去の読み筋という財産を残せる点で価値があります。
将棋を一生の趣味として続けていこうと思っている人には1人将棋で読み筋書き残しを特におすすめしておきます!