棋譜並べ

振り飛車党の棋譜並べにおすすめのプロ4人を紹介

振り飛車党 棋譜並べ

 

振り飛車党のプロ棋士は少ないため、振り飛車党のアマチュアはどのプロの棋譜を並べて勉強すればいいのか分からないかもしれません。

そこで今回は振り飛車党の人が並べるべきおすすめプロ棋士4人を紹介していきたいと思います。

振り飛車を勉強してもっと強くなりたい人や、振り飛車ってどんな戦法なんだろう?と知りたい人は、ぜひこれから紹介する4人のプロの棋譜を並べみてくださいね。

 

久保利明

最初は「捌きのアーティスト」の異名を持つ振り飛車党のボス敵存在、久保利明王将(2019年現在)です。

現役A級棋士で、タイトル獲得数7期と振り飛車党としてだけではなく、プロ棋士全体と比べても文句なくのトッププロと言える成績を残しています。

久保王将の魅力は捌きのアーティストと言われるだけあって華麗な捌きにありますが、実は不利になったときの振り飛車らしい粘りも魅力的です。

久保王将は昔はノーマル振り飛車、藤井システム、早石田など様々な振り飛車を指していますが、現在は主にゴキゲン中飛車と角交換振り飛車を指しています。

なので久保王将の棋譜並べはこんな人におすすめです。

 

久保王将の棋譜を並べるべき人
  • ゴキゲン中飛車、角交換振り飛車をよく指す人
  • 華麗な捌きを学びたい人
  • 振り飛車の粘りを学びたい人
  • とりあえず振り飛車党最強の棋譜を並べたい人

 

最後に久保王将が華麗な捌きを見せた1局を紹介します。

 

 

先手深浦康市、後手久保利明の2007年の順位戦で指された将棋から。

今先手に▲3四銀と出られた局面です。

次に▲3三銀不成とされる手が残っているためどう指していくべきか迷う局面ですが、ここから後手の久保が華麗な捌きの手順を見せます。

まずは上図から△5三角と引きます。

この手は△7四飛から△3五角と飛車を取る手を狙っているので、▲3三銀不成と指すことはできません。

なので本譜は▲3八飛と引きましたが、△3五歩と打ち▲3三銀不成△同金▲4五桂と進みます。

 

 

△4二角と金にヒモをつけつつ角を逃げると▲5三銀と打たれてしまうため、後手駒損確定の局面に見えますが、△7五角と金をあっさり見捨てて▲3三桂成に△2四飛と2筋に目をつけたのがうまい捌きでした。

 

 

実戦は▲2八銀と辛い受けを繰り出しましたが、△3六銀から攻めきって後手勝ちになります。

結果的に左桂と左金を捌き切って、自分の大駒は敵陣の急所にザクザク利かせているという理想的な振り飛車の捌きの展開になりました。

久保王将の捌きは他のプロにはない職人芸なので、振り飛車党にはぜひ1度は並べていただければと思います。

以下の棋譜集は僕も買って全局並べました。

 

 

菅井竜也

次は若手棋士の菅井竜也七段(2019年現在)です。

菅井七段はタイトル獲得回数は1期ですが、あの羽生善治から全局振り飛車で戦い、タイトルを奪うという活躍を見せています。

また新手メーカーとしても知られ、「菅井流」と呼ばれる指し方はたくさんあります。

なので最新系の振り飛車を知りたければ彼の棋譜を並べるのが一番いいです。

菅井七段は居飛車を指していたときもありますが、基本は振り飛車が多く、先手中飛車と角交換振り飛車を多く指しています。

 

菅井七段の棋譜を並べるべき人
  • 先手中飛車、角交換振り飛車をよく指す人
  • 最新系の振り飛車を学びたい人

 

最後にめちゃくちゃある「菅井流」から2つだけ選んで紹介します。

 

 

これは向かい飛車対三間飛車の局面です。

浮き飛車は矢倉に弱いと結論付けられていた中、あえて浮き飛車にして矢倉に組ませることで駒を右辺に偏らせて、▲同歩には△6五歩▲同歩△7七角成▲同桂△2二角・・・と先手の薄い左辺を攻めるという意味の指し方でした。

この菅井流の指し方が登場したときは確か菅井七段は奨励会員だったと思いますが、ここから多くの「菅井流」を見ることになるとは当時は思いませんでした。

 

 

今度はゴキゲン中飛車の新手です。

△4四歩が菅井新手で、▲4六銀には△4五歩▲同銀△3二金として先手の銀を不安定にして、あわよくば△5六歩から大決戦に持ち込もうという狙いです。

柔軟な考え方がないとなかなか思いつかない発想で素晴らしいと思います。

 

 

 

藤井猛

次に紹介するのが藤井九段(2019年現在)で、竜王戦三連覇という素晴らしい成績を残し、四間飛車の序盤戦術に革命を起こした藤井システムの創始者です。

藤井システム以外にも角交換振り飛車や、矢倉など参入した戦法にたくさんの新手を残す序盤のパイオニア的な存在です。

また、彼はその凄まじい序盤力を持つ一方、終盤で華麗な大逆転負けをしてしまうことがあり将棋ファンから「ファンタ」と呼ばれて親しまれています(?)

プロ棋士の中で1番優勢なときにドキドキさせられる棋士と言えるかもしれません。

 

 

藤井九段の棋譜を並べるべき人
  • ノーマル四間、角交換振り飛車をよく指す人
  • 理論的な振り飛車の序盤を知りたい人

 

ぼく自身も藤井九段の将棋は生中継で見て何度もドキドキさせられましたが、藤井九段の一番の魅力はやっぱりその序盤です。

 

 

この将棋は藤井システム初登場局で、1995年の順位戦、先手藤井猛、後手井上慶太の1局です。

今でこそ居玉で戦うのは普通になってしまいましたが、当時玉を囲うのは当然で居玉で戦うなんてとんでもないという時代にこの局面を見た将棋指しはどう思ったのか気になるところですね。

 

 

大山康晴

現役棋士ではないですが、最強棋士議論で羽生九段と引き合いに出される歴史に残る大名人です。

名人18期獲得10年連続全てのタイトル戦に出場など、大山十五世名人の記録の凄さについて語りだしたらめっちゃ長くなるので割愛します。

彼は若い頃は居飛車党でしたが、無敵の名人時代は振り飛車一本で当時の挑戦者を退けてまくっていました。

大山十五世名人の振り飛車はとにかく受けが強く、バラバラに散らばった金銀が最後には自玉付近にまとめてしまうなど、駒の使い方も抜群にうまいです。

先手番、後手番どちらでも四間飛車から三間飛車、中飛車など様々な振り飛車を指しこなしていました。

大山十五世名人は「大山全集」と呼ばれる棋譜集が発売されていて、昔のプロやアマ強豪はこの棋譜集をひたすら並べるのが強くなる勉強法と言われており、ぼくも結構並べてました。

 

大山十五世名人の棋譜を並べるべき人
  • ノーマル四間、ノーマル三間をよく指す人
  • ノーマル振り飛車に対して居飛車の急戦対策を知りたい人
  • 受けの力や忍耐力をつけたい人

 

最後に大山十五世名人の印象に残る手を紹介します。

 

 

これは先手大山康晴、後手谷川浩司の1992年に指された順位戦の将棋です。

局面は先手が優勢でどうやって勝ちに行くかという展開ですが、普通は▲4二金から考えるところです。

しかし受けの名人が指した手は▲6七金!で何もさせず勝とうという一手でした。

地味な一手ですが、大山全集を並べていると随所にこういう手が出てくるので受けを学ぶには絶好です。

 

 

 

まとめ

以上、振り飛車党が並べるべき4人のプロ棋士の紹介でした。

今回紹介した4人のプロはいずれも素晴らしい成績を残している方々なので、棋譜集も多く発売されていて比較的棋譜の入手が簡単だと思います。

自分の指す戦法や棋風に応じて並べるプロの棋譜を変えて効率良く勉強して強くなりましょう!