将棋の上達にとても有効なのが詰将棋を解くことですが、その詰将棋の中にも色々な種類があります。
詰将棋本や将棋雑誌でよく見かけて、1番種類の多いのが下図のような詰将棋です。
盤面の1部を切り取り、敵玉しか配置されていない詰将棋です。
この詰将棋には以下のような特徴があります。
- 詰みに関係ない駒がない
- 詰ましたときに持ち駒が残らない
- 大体詰み手順が1パターンしかない
- 物量攻めみたいな詰まし方がない
- 芸術的な手順が多い(実戦ではあまり出ないような手)
一方実戦詰将棋は下図のような局面のような詰め将棋です。
実戦詰将棋は以下のような特徴があります。
- プロの実戦などで詰みが生じた局面を切り抜かれている
- 実戦から切り抜かれているので詰み手順に関係ない駒がたくさんある
- 詰ましたときに持ち駒が余るのは当たり前
- 詰み手順が2つ以上ある
- 物量攻めでかっこ悪く詰ますこともよくある
- 華麗な捨て駒とかがそこまで登場しない
このように問題としてはイマイチに見える実戦詰将棋ですが、実は実戦詰将棋をたくさん解くことには色々なメリットがあるので今回はそのメリットについて紹介していきます。
実戦に出てくる詰み筋のパターンを覚えられる
プロやアマの実戦に現れた詰みのある局面をそのまま切り抜いているので、自分の実戦にも似たような詰み筋が出てきたときに役立ちます。
特に自分がよく指す戦型の実戦詰将棋を解くことがおすすめです。
例えば振り飛車党の人は対抗形の実戦詰将棋を解くのがいいでしょう。
逆に振り飛車党の人が相居飛車の実戦詰将棋を解くのは、対抗形の実戦ではあまり役に立たないので解く優先度は低いです。
追い詰めの手順に慣れることができる
追い詰めとは持ち駒を打ち続けて詰ましたり、大駒の利きを生かして金を寄せていったりして詰ます形のことを言います。
例えば以下の局面が追い詰めの表現がぴったりの詰み手順です。
▲5一角△同玉▲6ニ金△4ニ玉▲5ニ金△3ニ玉▲4ニ金△2ニ玉▲3ニ金△1ニ玉▲2ニ金までの詰みとなります。
プロの観戦記などでこの詰み手順が出たら、「▲6ニ金以下追い詰めである」という風に省略されるような手順です。
普通の詰将棋であれば、こんな金を寄せていくだけの単純な手順はまず登場しませんが、実戦では追い詰めは頻繁に登場します。
普通の詰め将棋を解きすぎるとこういう単純な手を見落とすということもあるので、実戦詰将棋で追い詰めの感覚に慣れておくことは重要です。
実戦詰将棋のデメリット
実戦詰将棋を解くのはメリットばかりに見えますが、実はデメリットもあります。
1番のデメリットは実戦詰将棋の本が少ないということです。
本に問題がまとまっていないと効率的に解くことができないため、勉強法としてイマイチになってしまいます。
あとは追い詰めの手順に慣れすぎると、今度は華麗な捨て駒の手順などが見えにくくなるという可能性もあります。
これは実戦詰将棋と普通の詰将棋をバランスよく解けば問題解決できそうな気もします。
まとめ
実戦詰め将棋を解くメリットの紹介でした。
実戦詰め将棋の本が少ないから効率的に問題が解けないけど、実戦に登場する詰み手順に慣れることができるから実戦詰将棋を解くのはおすすめです。