最近は将棋ソフトの棋譜を並べるという勉強法も流行っていますが、一方で過去の名人達の古典棋譜を並べるという勉強法も根強い人気があります。
温故知新という言葉があるように、将棋ソフトという圧倒的に強い存在が生まれたとしても、過去に指された将棋に学べることはたくさんあります。
特に混戦に強くなるというメリットがあるので、ぜひとも古典棋譜並べを週末の勉強法に加えてみましょう!
現代将棋のプロ棋士は泥仕合が少ない?
現代将棋はどんどん短手数化してきています。
ソフトで研究することによって最序盤から激しい戦いになったり、棋士の全体的な棋力向上で終盤で泥仕合化せず、優勢側がスパッと決めることが多くなったのがその理由です。
プロ棋戦の持ち時間昔の棋戦と比べてどんどん短くなっていますが、それでも悪手率は昔のプロの方が多いでしょう。
そういうわけで現代将棋は泥仕合が少なくなってきているのです。
なので形勢不利側の粘りのテクニックが功を奏して逆転するという棋譜もなかなか見るのが少なくなっているんじゃないかと思います。
一方アマチュアの持ち時間は昔と変わらず秒読み30秒将棋がスタンダードなので、優勢側が決め損なって泥仕合化するというのはよくあることです。
一般的に持ち時間が増えれば逆転は少なくなりますが、アマの大会の持ち時間が今後増えていくというのは考えにくいので、泥仕合化したときの指し方を学んでおくことは重要です。
並べるべき過去のプロ棋士は誰か
棋譜が容易に手に入るのであれば、歴代名人の棋譜を並べるというシンプルな方法でいいのですが、大山先生以前の名人は棋譜集などがあまり販売されていなくて棋譜並べが難しいです。
そういうわけで並べやすさも考慮して以下の先生方の棋譜を並べるのがおすすめです。
- 天野宗歩
- 木村義雄
- 大山康晴
- 升田幸三
- 中原誠
- 加藤一二三
- 米長邦雄
木村先生以外は棋譜集が発売されているので棋譜並べもしやすいですね。
木村先生の棋譜は将棋DB2から並べることができます。
どの先生方も非常に勉強になる将棋を指されていて、木村先生はあまり話題に出ない方ですが、現代的な角換わりの棋譜があるので居飛車党の人は並べると勉強になると思います。
今回の泥仕合を学ぶというテーマでは、大山先生と米長先生のお二人がいいですね。
どちらも「人間は必ず間違える」という信念を持っていて、米長先生なんかは「形勢が不利なほうが力が出る」ということまで言っています。
棋譜集とは違いますが、私が読んだ中盤向けの本で1番面白いなと思ったのは名著「米長の将棋」でした。
米長先生はさわやか流と呼ばれていたこともあるようですが、泥沼流のほうが一般的で、後者のほうが棋風にぴったり合う呼び方です。
泥仕合を学ぶために、居飛車党の人は米長先生、振り飛車党の人は大山先生の棋譜を並べるという風に選ぶのもいいかと思います。
印象に残る泥仕合
個人的に印象に残る泥仕合の名局は、1971年名人戦第3局の大山対升田の「天来の妙手」△3五銀の将棋です。
過去の記事で銀を使った妙手ランキングというのを書いたのですが、銀に限定しなくてもトップ5には間違いなく入る妙手です。
4六にいた銀をタダで取れるところにバックするという奇想天外な一手ですが、神業のように駒が捌ける素晴らしい狙いを持っています。
普通こんな華麗な一手を喰らったら、頑張っても10手~20手くらいで投了に追い込まれるものですが、ここから100手以上続きます。
この△3五銀は94手目に指された手ですが、終局は210手なのでとんでもない泥仕合ですよね。
この将棋を粘ることができる大山先生の泥仕合力は凄まじいとしかいいようがありません。
まとめ
私は基本的に現代将棋を並べるほうが勉強になると考えていますが、力戦形の指し方や、泥仕合の将棋など一部の能力を鍛えるという点では古典将棋のほうがいいと思っています。
自分の伸ばしたい能力に応じて並べる棋譜を選ぶのがベストですね!